アメリカの具材あれこれーフィッシュケーキ!
こんにちは、アメリカ在住の巻寿司大使りょうこです。
今回のレポートでは「カリフォルニア巻き」の具材で知られる
カニカマボコ(クラブスティック)はじめ、
魚肉練り製品(フィッシュケーキ)がどのように
アメリカの巻寿司界で活躍しているかを、
私が体験した南部地方を中心にお伝えしたいと思います。
南部地方とは、ケイジャン料理で知られるルイジアナ、
その隣のミシシッピー、アラバマ、ジョージア、フロリダなど
北米大陸の南東部の一帯を指します。
この地域は沼や川が多いため、エビやザリガニを食べる習慣があり、
シーフード料理が浸透しています。お米やお茶を栽培する歴史もあり、
意外に日本との共通点があります。
冬は寒くて夏は暑い場所ですが、メキシコ湾に面している地域は
『エメラルドブルー』と言われる海の美しさが有名です。
ニューヨークやロサンゼルスなどの大都市と比べると、
おおざっぱでのんびりした土地柄。
回転寿し店も普及しておらず、
お寿司はシーフード料理店のメニューの一部として扱われ、
タイ料理店で出されることもあり「 Sushi & Thai」の看板も見かけます。
大手スーパーでは、パック詰めの巻寿司が
ベトナム式春巻きと並んで販売され、
手軽に入手できる環境にあるといえます。
ただしそのほとんどが「裏巻き」で、
太巻きのように海苔が外に見える巻寿司はあまり見かけません。
アメリカ人には、黒い海苔が食べ物に見えないようで す。
そんな南部の韓国系食料品店で「太巻き発見!」と思いきや、
これは韓国の「キンバップ」という巻寿司でした。
キンバップとは「海苔ご飯」の意味。
もともとは日本が韓国を統治していた第二次世界大戦前、
太巻きが持ち込まれ、それが「進化」したものです。
ご飯には米酢ではなく、ごま油と塩を入れます。
日本の太巻きよりもきっちりと巻かれており、
ご覧のようにご飯の量が少なめで「具が大きい」のが特徴。
タクアン、ゴボウ、茹でホウレンソウ、薄焼き卵、ニンジン、
それにサツマ揚げ(フィッシュケーキ)が入っており、
ごま油が香ばしく、カリカリした野菜の食感が印象的です。
甘い味付けで、具材は人によって違い、
韓国の家庭ではピクニックなど特別な日に必ず作るそうです。
アメリカでは日本の太巻きと同じと見られているようで、
なんと巻寿司を型どったバッジもありました。
バッジを扱っているのは、「ジャイアント・ロボ」というロサンゼルスの雑貨店です。
次に見つけた太巻きは「裏巻き」の太巻きです。
トッピングの赤いツブツブはトビコで飛び魚の卵を着色したもの。
クリームチーズ、アボカド、マグロ、エビフライ、アスパラ、キュウリ、
青ネギ、カニカマのほか、鮮やかな緑色は「ワカメ」と言われるごま油風味の海藻と、
盛りだくさんの具材のハーモニーが楽しい巻寿司です。
他に、エビフライ入りの巻寿司「クランチーシュリンプ」もあります。
エビフライは南部地方では人気の具材の一つ。
この「クランチーシュリンプ」の上に
「スパイシークラブスティックサラダ」をトッピングした
「ボルケーノ」という巻寿司も人気です。
「スパイシークラブスティックサラダ」とは、ほぐしたカニカマをマヨネーズと
シラチャーソースというタイのホットチリソースで和えたもの。
巻寿司の具材として入れたり、トッピングしたりと大活躍です。
またこの「スパイシークラブスティックサラダ」と
アボカド、マグロを巻いた巻寿司が「ダイナマイト」。
上にかかっているのは「シラチャーソース」です。
「Sushi」というと生の魚を連想して敬遠する人もいるアメリカで、
魚肉練り製品はいろいろな形で活躍して寿司ファンを増やしているようです。