巻寿司から学ぶ
こんにちは。2016年度巻寿司大使の莉莉です。
先日、広島市内の私立大学で昨年に引き続いて2回目となる巻寿司について講義をしました。
昨年のレポートでお話ししましたが、この大学には異文化理解を目的に、
留学生と日本人学生がともに学ぶ講義があります。
今学期は、中国、韓国、ベトナム、インドネシア、デンマーク、フランス、
ポーランドからの留学生と日本人学生が一緒に学んでいます。
講義の前半は、パワーポイントを使って寿司全般と巻寿司に関する説明をしました。
代表的な日本食といえば寿司、寿司といえば握り寿司を思い浮かべる外国の方は少なくないようですが、
講義では「日本で親しまれている寿司には色々な種類があること」、
「日本の家庭では巻寿司が親しまれていること」、
「全国には様々な特徴の巻寿司があること」などをお話しました。
また寿司の歴史については、「誕生したばかりの頃の寿司は現在とは違うものであったこと」、
「これと類似した食べ物が遠く離れた東南アジアに存在し、日本の寿司のルーツと言われていること」
などを説明しました。
また節分の意味や恵方巻を食べる風習などを説明すると、旧暦で祝祭日を祝うアジアから来た学生達は、共感した様子で大きくうなずきながら聞いていました。
私もその様子を見て、日本とアジアには古くからの繋がりがあることを感じました。
一方で、ヨーロッパから来た留学生は、母国と日本の文化の違いに興味深く耳を傾けていました。
広島には、刻んだ広島菜というお漬物をご飯にのせて巻いた『江波巻』と呼ばれる巻寿司があります。
昔、海苔の養殖が盛んだった広島の沿岸部が発祥で、作業の合間に手早く食べることができる漁師さんたちのファストフードだったそうです。
この話をすると、現在は牡蠣養殖が盛んな広島の海で、かつては海苔の養殖が盛んだったことや、何気なく口にしていた江波巻の由来などを初めて知った日本人学生も驚いている様子でした。
さらに、「巻寿司といってもすし飯の甘さに地域差があること」、「細巻や太巻と太さの違う巻寿司があること」、「地域によって使われている具材も様々で、郷土色のある巻寿司が沢山あること」など詳細に説明していくと、巻寿司の奥深さに学生達も感心するように聞き入っていました。
最後に、現在も進化し続ける巻寿司として『飾り巻き寿司』を紹介しました。海外ですっかり有名になったデコ弁にも負けない斬新な巻寿司です。
初めて見る芸術的な巻寿司に学生達からは、「うぉ〜」という驚きと歓声が上がりました。
後半は場所を移して、実際に巻寿司を巻く実技です。
昨年の講義ではみんな同時に巻いたため、丁寧な指導が難しかったという反省がありました。
今回は3グループに分けて交代で巻くことにしました。
真剣な表情で前半の講義を聞いていた学生達ですが、テーブルの前に並び巻寿司を巻く姿は、どの学生もまるで小さな子供のように大はしゃぎの実技となりました。
お互いの巻寿司を見せ合いながら大笑い、完成した巻寿司を切り分け満足そうに頬張っていました。
しばらく興奮が覚めない様子でした。
講義を通じて、寿司の世界、巻寿司の奥深さ、そして日本とアジアの繋がりや地元の歴史の一端に少しでも興味を持ち、母国でも巻寿司作りを楽しんでもらえたら素敵ですね。
海を越えて巻寿司が、沢山の方に笑顔を届けられますように!