日本と海外の巻寿司に対しての考え方の違い
巻寿司大使の川澄健です。
8月に東京ビックサイトで第3回すしワールドカップというイベントが行われました。
海外から約30名の選手が集まり2日間にわたり技術を競い合いました。
1日目は江戸前寿司、巻寿司は基本の細巻と細工巻。
2日目は海外選手お得意の創作寿司。
2日間で作った盛り込み寿司の合計点で争い、
今年はブラジルの選手が優勝しました!
私はスタッフとしてこの大会のお手伝いをさせていただきました。
各選手の創作寿司やロール寿司を見て感じたことがあります。
日本の巻寿司は具材を芯に巻き込み、中の具材の組み合わせた味や食感、
海苔の艶や香りなどを楽しみます。
一方、海外の巻寿司は、海苔を外側に巻いたロール寿司や細巻の上に色々な食材を
トッピングするのが主流です。
海外シェフの創作寿司
私たち寿司職人は「巻寿司の芯は真ん中に」、「端っこはお客様に見せない」、
「切り口の上に端材がのらないよう綺麗に」と教わります。
しかし海外では食材が多少出ていても気にしない、
むしろ端を上に向けて野菜や食材を見せます。
そして決定的に違うのは、巻寿司の断面に色々な食材をのせ
1個の巻寿司をデコレーションして販売する点です。
日本とは逆の巻き方や売り方をしていると言えるでしょう。
カリフォルニアロール
この違いの原因は、何なのでしょうか?
日本の巻寿司は、江戸時代の握り寿司誕生より古い、
上方の巻寿司文化の流れの上にあります。
一方海外では、フレンチ、イタリアン料理のように食材の上に
野菜やキャビア、ソースなどをのせて飾るという料理の文化が
影響しているのではないでしょうか。
シュリンプ金箔のせ 大根の桂むき巻
サーモンキュウリ ブロッコリーの芽 サーモンアボガド
その相違点こそが、日本人が海外の巻寿司に対して「それは日本の巻寿司ではない」といい、
外国人シェフは「これこそが私たちのロール寿司文化だ」と主張が対立する原因だと思います。
しかし最近は、海外の高級店などで本格的な江戸前寿司の店も増えてきました。
そのような高級寿司店で、ロール寿司よりも鉄火巻、ネギトロや手巻きといった、
海苔が外側に巻かれている本来の巻寿司が提供されることで、
海苔の香りや美味しさ等も理解されてきたようです。
味の濃いテリヤキソースやマヨネーズをたっぷりかけて食べる従来のロール寿司から、
海苔の香りや歯触りを楽しむ日本の巻寿司への変化に期待したいですね。
太巻き、細巻、信田巻
川澄作 江戸前寿司干瓢巻
巻寿司大使 『川澄飾りずし協会』会長 川澄健